IatroBench: AI安全性対策による医原性障害の事前登録証拠
本論文は、AI安全性対策が意図せず引き起こす「医原性(iatrogenic)障害」を体系的に評価するベンチマーク「IatroBench」を提案する。事前登録された実験を通じて、過剰な安全ガードレールや誤った整合性手法が、AIシステムの性能低下や新たなリスクを生む現象を実証的に分析する。
背景メモ
「IatroBench」は、AIの安全性(Alignment / Safety)を高めるために施された対策が、逆にAIシステムに害を引き起こす「医原性(iatrogenic)被害」を体系的に検証する初のベンチマーク。論文は査読前(プレプリント)で、arXiv(学術プレプリントサーバ)に2025年4月に投稿された。
- 「医原性」は元来「医者の治療行為が原因で生じた害」を指す医学用語で、ここではAI安全策(価値観の調整、有害出力の抑制など)が原因でモデルの性能低下やバイアス歪み、正直さの喪失が起きる現象に転用。
- 著者らは、事前登録(preregistration:結果が出る前に実験計画を公開する再現性向上手法)を行い、複数の主要LLM(GPT-4, Claude, Llama等)で「安全策の導入がむしろ有害アウトプットを増やすケース」を実証。
- この研究の含意:AI安全の「副作用」を無視すると、安全策そのものがリスクになり得るという警鐘—AIガバナンスやアライメント研究の方向性に直接影響する。