ロシアの超深度掘削計画、論争の「無尽蔵石油」理論を復活させる
ロシアが北極圏で超深度掘削を計画し、石油は生物起源ではなく地球深部で無尽蔵に生成されるという「アビオティック石油(無機起源石油)理論」が再び注目を集めている。この理論は長年主流の科学から否定されてきたが、ロシアのプロジェクトが再燃させた議論は、エネルギー資源の未来に重要な示唆を与える可能性がある。
背景メモ
- ロシア国営石油会社ロスネフチが、北極圏のコラ半島(旧ソ連が世界最深部まで掘削した「コラ超深度掘削坑」の所在地)で、地下12~15kmの超深度井を複数掘削する計画を発表した。目的は「アブオービック・オイル(abiotic oil)」仮説の検証とされる。
- アブオービック・オイル仮説は、石油が生物起源(古代の生物が堆積して生成)ではなく、地球マントル深部の無機化学反応で生成されると主張する説。ロシアの石油地質学者には根強い支持者がいるが、国際的な主流科学では否定されている。
- この説が正しければ、石油は理論上「無尽蔵」であり、従来のような「枯渇リスク」がなくなる。米国や欧州の地質学者はほぼ全員が「生物起源説」を支持しており、アブオービック説は異端視されている。
- ロシア政府は2025年から「地球深部探査プログラム」を開始しており、この超深度掘削はその一環。エネルギー安保や北極圏の領有権主張とも結びついている。
- 背景として、ロシアは従来の油田(西シベリアなど)の減退に直面しており、新たな「非在来型」資源への期待が高まっている。科学的検証という名目の下、実際には石油・ガス埋蔵量の新たな主張を裏付けたい思惑もあると見られる。