道徳的高揚感は看護行為を誘発する
この研究は、道徳的高揚感(他者の美徳的な行動を目撃した際に生じる感情)が、看護師の援助行動や思いやりのある行動を促進する可能性を検討している。道徳的高揚感が看護実践における共感や利他的行動の重要な動機付け要因となることを示唆している。
背景メモ
- この論文は、道徳的髙揚(moral elevation)というポジティブな感情が、看護行動(利他的援助行動)を誘発するという実証研究。道徳的髙揚とは、他者の思いやりや美徳的行為を目撃した際に生じる「温かさ」「感動」「人間性への希望」などの感情で、心理学者ジョナサン・ハイトが提唱した概念。
- ハイトは2000年代初頭、道徳感情に関する研究の中で、嫌悪感(disgust)などネガティブな感情だけでなく、髙揚感のようなポジティブな感情も道徳判断や行動に影響を与えると主張。本論文はその理論を看護行動に応用したもの。
- 当時、心理学では「向社会的行動(prosocial behavior)」の研究が盛んで、共感や罪悪感が援助行動を促すことは知られていたが、「感動」という感情の役割は未解明だった。本論文はその空白を埋めた。
- この研究の意義は、単なる「良い行いを見ると真似したくなる」という日常感覚を実験的に検証し、生理的・心理的プロセスとして裏づけた点にある。ただし発表から15年以上経過しており、近年は追試や再現性に関する議論もある分野。