欧州の住宅政策はアメリカ化されるべきか?
本稿は、欧州の住宅市場における規制や供給制限が深刻な住宅不足を招いている現状を分析し、より市場志向のアプローチを取り入れる「アメリカ化」の是非を問う。 zoning規制の緩和や建設促進策など、米国の一部都市で成功した住宅政策が欧州に応用可能か検討する。
背景メモ
- Works in Progressはイギリスのオンラインマガジンで、技術や政策のテーマをデータに基づいて論じるのが特徴。
- 欧州の住宅市場は「供給サイドの政治経済」が異なる。ドイツやフランスでは家賃統制やテナント保護が強固で、新規建設を阻む規制や訴訟リスクが高い。英国は計画許可制度が硬直的で、EU離脱後の移民減少も影響。
- 著者は「アメリカ型」とされる住宅政策——ゾーニング緩和、建設手続きの迅速化、市場メカニズム活用——を欧州がより積極的に取り入れるべきと主張している。ただしアメリカもサンフランシスコなどでは逆に建設抑制的であり、単純な二項対立ではない点に注意が必要。
- この議論の背景には、2010年代以降の「YIMBY(Yes In My Back Yard)」運動の台頭がある。サンフランシスコやシアトル発のこの運動は、住宅不足の原因を既存住民による建設反対(NIMBY)に求め、規制改革による供給増を訴えている。