消えたポーランド語の「S」——奇妙な事例
30年にわたって潜んでいたキーボードのバグにまつわる物語。2015年2月に公開されたエッセイの新バージョン(全1,800語)。ポーランド語の文字「S」が特定の環境で表示されなくなるという不可解な現象の謎を追う。
背景メモ
- このエッセイは、ポーランド語の特有の文字「ś」(アキュートアクセント付きのS)が、ある条件下で画面上から「消えてしまう」という奇妙なバグを追跡したものです。問題の原因は、Unicodeの正規化(同じ文字を別々の符号で表現できる仕様)と、macOSのファイルシステム(HFS+/APFS)がUnicode正規化の方式を異なる形で実装したことにあります。具体的には、ポーランド語の「ś」には「合成済み」(1つのコードポイント)と「分解済み」(ベース文字+結合用ダイアクリティカルマーク)という2つの表現が存在し、システム間でのファイル名の受け渡しで不一致が生じていました。