ドラゴンと隣り合わせ:Lemote YeeloongノートPCとOpenBSD奮闘記
中国が国産CPUとして開発した龍芯(Loongson)プロセッサの歴史を、その起源である863計画からGodson-1、Godson-2を経てLemote YeeloongノートPCへと至る道のりとともに詳述。Richard Stallmanが愛用したことでも知られるこのMIPS64ベースのマシンにOpenBSDを導入し、SDカードからの起動など独自の改造に挑戦する過程を描く。
背景メモ
- **Lemote Yeeloong**: 中国Lemote社が2009年に発売した、低消費電力のMIPSベースネットブック。CPUは中国科学院ICTが設計した国産プロセッサ「Loongson(龍芯)」2F(800MHz〜1GHz)。最大の特徴は、BIOS/ファームウェアを含め完全にオープンソースなソフトウェアスタックで動作するよう設計されていた点で、Richard Stallmanが長年愛用したことでも知られる。
- **Loongson(龍芯)**: 中国の863計画(国家ハイテク研究発展計画)の枠組みで開発されたMIPS互換CPUファミリ。初期はMIPSライセンスなしで設計されたため特許回避のため一部命令を削除していたが、後に対応。x86ではなくMIPSアーキテクチャを採用したのは、ライセンス障壁が低く、中国独自のIPを確保しやすかったため。
- **OpenBSD/loongson**: OpenBSDが公式にサポートするプラットフォームの一つ。プロプライエタリなバイナリブロブ(クローズドソースのファームウェアやデバイスドライバ)を一切含まない完全に自由なOSを重視するユーザに支持された。
- **なぜ今この話題か**: 2010年代に製造終了した超ニッチなハードウェアに、現代のOpenBSDをインストールして実用しようとするレトロコンピューティング/テクノロジー考古学的な記事。中国の半導体国産化の初期の試み、MIPSアーキテクチャの終焉、自由ソフトウェア運動の実践といった複数の文脈が交差する点で、技術史的に興味深い題材となっている。