炭素回収・貯留が気候危機を解決できない理由
気候変動対策として注目される炭素回収・貯留(CCS)技術だが、プロパブリカの調査は、その実効性に重大な疑問を投げかける。コストの高さ、大規模展開の困難さ、そして化石燃料産業の延命に利用されるリスクなど、CCSは気候危機の解決策として不十分であると指摘する。むしろ、排出削減の本命は再生可能エネルギーへの移行と省エネ対策にあると論じている。
背景メモ
- ProPublicaは米国の非営利調査報道機関。気候変動対策として近年注目される「炭素回収・貯留(CCS)」技術の実態を、大手石油企業や政府のプロジェクト事例をもとに検証した長編記事。
- CCSは発電所や工場の排出ガスからCO₂を分離回収し、地中深くに圧入・貯蔵する技術。石油増進回収(EOR:CO₂を油田に圧入して原油を増産する手法)とセットで推進されるケースが多い。
- これまで世界最大級のCCSプロジェクト(米テキサス州のPetra Nova、カナダのBoundary Damなど)は、コスト超過や稼働率の低さ、CO₂漏洩リスクなど深刻な問題を抱えてきた。
- 石油業界や一部の政策立案者はCCSを「クリーンな化石燃料」の切り札として推進するが、批判派は「排出源をその場に残すことで再生可能エネルギーへの移行を遅らせる方便」と指摘する。
- 本記事は、技術の非効率性と実績の乏しさに加え、業界のロビー活動が炭素回収への過大な楽観論を広めている実態を、内部文書やインタビューに基づいて描いている。