ロケット・ラボ、イリジウムを80億ドルで買収—打ち上げ事業を超えた拡大へ
ロケット・ラボは、衛星通信企業イリジウムを約80億ドルで買収する契約を発表した。この買収により、ロケット・ラボは打ち上げサービスに加えて衛星通信分野にも事業を拡大し、宇宙インフラ全体をカバーする総合宇宙企業への成長を目指す。
背景メモ
- ロケット・ラブ(Rocket Lab):ニュージーランドと米国に拠点を置く宇宙スタートアップ。小型衛星向けロケット「エレクトロン」の打ち上げで知られ、近年は衛星部品の製造や宇宙機そのものの開発・運用にも事業を拡大している。SpaceXの小型版と見なされることが多い。
- イリジウム(Iridium):約66機の低軌道衛星で構成される衛星電話・データ通信ネットワークを運営する企業。極地や海上、航空機内など、地上の携帯網が届かない場所で通信を提供する。1990年代に一度破綻したが、その後復活し、現在は米国防総省などの大口顧客も持つ。
- 今回の買収(約80億ドル)により、ロケット・ラブは打ち上げサービス提供者から、自前の通信衛星コンステレーションを持つ垂直統合型宇宙企業へと転身する。イリジウムの既存顧客基盤と安定したキャッシュフローを得る一方、将来的にはイリジウム衛星の後継機を自社で製造・打ち上げる計画とみられる。
- 宇宙業界ではSpaceXのスターリンクが通信分野で支配的だが、イリジウムは異なる周波数帯と低軌道を使い、より耐久性の高い狭帯域音声・データ通信で差別化している。本買収は、ロケット・ラブがスターリンクと真っ向から競合するのではなく、政府・業務用のニッチを狙う戦略と解釈されている。