かつて全能だったドルの失墜
経済学者ポール・クルーグマンが、米ドルの国際的な支配力が弱まっている現象を分析。かつて「全能」とされたドルだが、新興国の台頭や米国の財政・政治リスクにより、その地位が揺らぎつつあると論じる。基軸通貨としてのドルの将来と、世界経済への影響を考察する。
背景メモ
- 米国の経済学者ポール・クルーグマン(ノーベル賞受賞、コラムニスト)による記事。トランプ政権の関税政策や経済ナショナリズムが基軸通貨ドルの地位に与える影響を論じている。
- 基軸通貨(dominant currency)とは、国際取引・中央銀行の外貨準備・金融市場で圧倒的に使われる通貨のこと。第二次大戦後、米国の軍事力・経済規模・法の安定性を背景にドルがその役割を担ってきた。
- 「エクソービタント・プライヴィレジ(exorbitant privilege)」は、1960年代にフランスのド・ゴール大統領の財務相が批判的に使った言葉で、ドルが基軸通貨であるがゆえに米国が低コストで借金でき、自国通貨建てで対外決済できるという特権を指す。
- 近年、中国の台頭や米国の政治的分断・財政悪化により、ドル基軸体制に疑問符がつき始めている。特にトランプ関税や国際ルール軽視の姿勢は、米国自身が「特権」を損なうリスクをはらむというのがクルーグマンの論点。