時空遺産調査が始動、天文学の新時代を告げる
NSFのヴェラ・C・ルービン天文台で、10年にわたる時空遺産調査(LSST)が正式に開始された。この調査は、チリのセロ・パチョン山上の8.4メートル望遠鏡と世界最大の32億ピクセルカメラを用いて、南天の空全体を3日ごとに撮影し、暗黒エネルギー、暗黒物質、小惑星などの謎に迫る。今後10年間で約60ペタバイトものデータが生成され、科学者や一般市民に公開される予定である。
背景メモ
- **Legacy Survey of Space and Time (LSST)** は、米国 NSF と DOE がチリのセロ・パチョン山頂に建設した **Vera C. Rubin Observatory(ヴェラ・ルービン天文台)** で実施される、10年間にわたる大規模天体サーベイ計画。2025年8月にファーストライト(試験観測開始)を迎え、本格運用が始まった。
- 口径8.4mの超広視野望遠鏡と、世界最大級の32億ピクセルデジタルカメラ(**LSST Camera**)を用い、南天の空を3夜ごとに全域スキャン。約200億個の銀河、170億個の星、小惑星や超新星など数百万の変動天体を検出する見込み。
- 主な科学目標は、(1) ダークエネルギー・ダークマターの解明(弱重力レンズ効果と銀河分布の精密測定)、(2) 太陽系内の地球接近天体(NEO)を含む小惑星のカタログ化、(3) 突発天体(ガンマ線バースト、超新星、重力波対応天体など)のリアルタイム検出とアラート配信。
- 毎晩約20テラバイト、10年で総計60ペタバイト超のデータを生成。データは即日解析・公開され、世界中の研究者がアクセス可能な「生きた宇宙カタログ」となる。
- プロジェクトは30年以上の構想期間を経てようやく始動。先行する広域サーベイ(Pan-STARRS、SDSS、ZTFなど)を大幅に上回る感度・視野・時間分解能を持ち、天文学の手法を「望遠鏡を競い合って取る」から「大規模データを全員が共有する」へと変革する契機とされる。