原子力発電による予防死亡者数と温室効果ガス排出量の削減 [pdf]
本論文は、原子力発電が化石燃料発電の代替として、大気汚染による死亡を予防し温室効果ガス排出を削減した効果を定量評価する。1960~2011年のデータに基づき、原子力発電により約180万人の死亡が予防され、二酸化炭素換算で約640億トンの温室効果ガス排出が回避されたと推定する。
背景メモ
- 本論文(2013年発表)は、原子力発電がこれまでにどれだけの大気汚染由来の死亡を防ぎ、温室効果ガス排出を抑制してきたかを定量的に試算した研究。著者のPusker Kharecha(NASA ゴダード宇宙科学研究所)とJames Hansen(元NASA、気候科学者として著名)が執筆。
- 研究の背景には、「原子力は危険でコストがかかりすぎる」として脱原発を進める動きが広がる中、気候変動と大気汚染(主に石炭火力)の健康影響を無視すべきではないという問題意識がある。福島第一原発事故(2011年)直後の論争的な空気の中で発表された。
- 主要な手法:全球の原子力発電実績データから、仮に同量の電力を石炭火力で代替した場合の追加死亡者数とCO2排出量を推定。チェルノブイリや福島の放射線被曝による長期的死者予測との比較も行っている。
- 結論の骨子:原子力は1960〜2013年で約184万人の死亡を防ぎ、約640億トンのCO2排出を回避した。致命的事故リスクは石炭火力の大気汚染リスクよりもはるかに小さいと主張。