CPRの隠れた害(2023年)
心肺蘇生法(CPR)は救命処置として広く認識されているが、その成功率は低く、たとえ蘇生に成功しても深刻な身体的・精神的後遺症を残すことがある。本稿は、CPRの現実的なリスクと限界を掘り下げ、医療現場における過剰な蘇生努力の倫理的ジレンマを問いかける。
背景メモ
- CPR(心肺蘇生法)は1950~60年代に確立された救命技術で、心停止時の胸骨圧迫と人工呼吸により血流を維持する。一般に「奇跡の医療」として広く称賛されている。
- しかし現実には、CPRが成功する確率は状況により大きく異なる。病院外で心停止した場合の生存退院率は約10~12%程度であり、高齢者や重篤な基礎疾患を持つ患者では成功率が極めて低い。
- さらにCPRには「身体の隠れた害」が伴う。肋骨骨折(約30%の患者に発生)、胸骨骨折、臓器損傷、そして蘇生後の脳障害や低酸素性脳症による重篤な後遺症も少なくない。蘇生に成功しても、その後のQuality of Lifeが著しく低下するケースが存在する。
- 医療現場では「DNAR(蘇生拒否)」や「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)」など、事前に心肺蘇生の意思を確認する取り組みが広がっているが、日本を含め多くの国で患者の意思が十分に尊重されず、自動的にCPRが実施される現状がある。
- 本記事は、CPRを無条件の「善」と見なす前提に疑問を投げかけ、医療倫理、患者の自己決定権、そして死の質について根本的な再考を促す内容。