ルーズベルト大統領には理解できないであろう、EUによるグーグルへの独禁法制裁金(2017年)
テディ・ルーズベルトが鉄道トラストを解体した時代と違い、現代のEUによるグーグルへの制裁金は、消費者被害よりも競合企業保護に主眼が置かれている。ルーズベルトならば、低価格や革新を消費者にもたらす企業を罰する現在の独占禁止法執行に疑問を抱くだろうと論じる。
背景メモ
- 2017年、EU競争当局はグーグルに対し、自社のショッピング比較サービスを検索結果で優遇した行為は独禁法違反だとして、約24億ユーロ(当時のレートで約27億ドル)の制裁金を科した。これは欧州の antitrust(独占禁止法)執行が、米国の「消費者厚生」基準とは異なる「競争プロセス自体の保護」を重視していることを示す象徴的な事件。
- 記事は、セオドア・ルーズベルト大統領(在任1901-1909年)が推進した米国トラスト破壊運動を引き合いに出す。ルーズベルト時代の独禁法は、スタンダード・オイルや鉄道トラストのように消費者に直接害を与える企業を標的にした。しかしEUがグーグルを罰した理由は、価格引き上げや品質低下といった消費者への直接被害ではなく、「競争の場(level playing field)」の歪みだったと論じる。
- 背景として、EUは米国より伝統的に独禁法の適用範囲を広くとってきた。欧州委員会は2004年のマイクロソフト事件でも、OSとメディアプレーヤーのバンドルに対し同様の論理で制裁を加えている。この違いは、EUが「競争者(competitors)を保護する」哲学に近く、米国が「消費者(consumers)を保護する」哲学に立つという認識に根ざす。
- 当時、この制裁はトランプ政権下の米国とEUの通商摩擦が高まる中で下され、政治的緊張も含んでいた。記事は2017年の執筆だが、2024年の現在もグーグルはEUから追加の制裁(広告技術関連など)を受けており、この構図は長期化している。