iPhoneは避妊具か?AT&Tの2007〜2011年独占による因果的証拠 [pdf]
本稿は、AT&TがiPhoneの米国独占販売権を持っていた2007〜2011年の期間を自然実験として活用し、スマートフォンの普及が避妊行動や出産に与えた因果的影響を推定する。分析の結果、iPhone販売地域における避妊薬の使用増加と出生率の低下が確認され、モバイル技術が生殖選択に重要な影響を及ぼした可能性が示唆される。
背景メモ
本稿は、米AT&TがiPhoneの独占販売権を持っていた2007~2011年に焦点を当て、スマートフォン普及が10代の妊娠率・性行動に与えた因果的影響を検証したNBER(全米経済研究所)のワーキングペーパー。タイトルは「iPhoneは避妊具か?」という刺激的な問いかけで、オンラインデートや情報アクセスが行動変容を促した可能性を実証的に探る。
- NBER(National Bureau of Economic Research)は米国の有力な経済学シンクタンクで、いわゆる「NBER論文」は学界・政策界で広く参照される。ワーキングペーパー段階であり査読前だが、波及力は大きい。
- 2007年の初代iPhone発売から2011年まで、AT&Tが米国内独占販売。この「自然実験」を利用し、地域ごとのAT&T通信品質の差を操作変数として因果推論を行っている。
- スマホが10代の妊娠率低下をもたらした経路として、(1)情報へのアクセス向上(避妊知識など)、(2)オンラインでの社会関係資本の変化(対面リスク行動の代替)、(3)監視の強化(親・社会による)などが想定されている。
- 同種の研究としては、ブロードバンド普及と出会い系サイト利用が性行動に与えた影響を調べた先行研究があり、本稿はそれをモバイル・ソーシャルメディア時代に拡張した位置づけ。