「この本を誰が読みたいと思うのか、考えあぐねている」(2025年)
数学者であり作家でもあるデイヴィッド・ベシスが、自身の著作に対する読者層について葛藤を綴るエッセイ。彼は「この本を誰が読みたいと思うのか」と自問しながらも、執筆の動機や創作プロセスにおける自己疑念と向き合う。ニッチなテーマや専門性の高い内容であっても、そこに共感や価値を見出す読者が存在する可能性について考察している。
背景メモ
- デイヴィッド・ベシスは、フランス人数学者・起業家で、「数学的思考の普遍性」をテーマにした著作で知られる。本書『Mathematica』(原題)は、数学を「特別な才能を持つ人だけのもの」から「誰にでも開かれた、創造的で身体的な営み」として再定義しようとする試み。
- 本書は米国で高い評価を得たが、このSubstack記事では「この本を読みたがるのは一体誰か」と著者自らが疑問を呈している。ベシスが指摘するのは、一般読者は「努力せずに理解できる数学」という幻想を抱き、数学者コミュニティは「数学≠身体的快楽」という暗黙の前提を持つため、どちらの読者層にも響きにくいという構造的問題。
- この記事は、インテリ層の間で「難しいものをいかに届けるか」というメタ議論の一環であり、特に「数学の啓蒙書はなぜ読まれないか」という、数学教育や科学コミュニケーションの現場で長年続くジレンマを背景としている。