FCC、半世紀を経て
CERNのFuture Circular Collider(FCC)計画が、半世紀以上にわたる素粒子物理学の歩みを継承する野心的プロジェクトとして注目を集めている。本記事では、FCCがLHCの後継機としてヒッグス粒子の精密測定や新物理の探索を目指す意義と、その実現に向けた技術的・政治的課題について考察する。
背景メモ
CERN(欧州原子核研究機構)が次世代の大型円形衝突型加速器「FCC(Future Circular Collider)」計画を推進中。全周約91km、現在のLHC(Large Hadron Collider、全周27km)の3倍超で、史上最大の加速器となる。第一段階として電子・陽電子衝突型「FCC-ee」(2040年代運転開始予定)でヒッグス粒子やZボソンを精密測定し、第二段階で陽子衝突型「FCC-hh」(2070年代)に移行してLHCより一桁高いエネルギー領域を探索する。
この構想の根底にあるのは、LHCが2012年に「ヒッグス粒子」を発見した後も、素粒子物理学の標準模型を超える新物理の明確な兆候が未だに見つかっていないという焦り。ヒッグス粒子の性質を極限まで精査し、暗黒物質や質量の起源に迫るには現在の装置では限界がある。本記事はCERN機関誌が、FCC計画の技術的・政治的なハードルを整理したもの。2030年代の理事会での建設正式承認を目指すが、総事業費は数百億ユーロと試算され、批准を求める加盟国間の合意形成は容易ではない。日本・米国・中国(CEPC計画を推進中)などの国際協力の行方も焦点となる。