EU議会、一時的に「チャットコントロール」に抵抗
欧州議会は、いわゆる「チャットコントロール」と呼ばれる通信監視計画に対し、一時的ながら抵抗を示した。この決定は、プライバシーや暗号化の保護を求める市民社会や業界の声を反映したものだが、長期的には依然として課題が残る。部分的勝利と評されるこの結果は、今後のEUのデジタル政策の行方を左右する重要な局面となっている。
背景メモ
- EUの「Chat Control」とは、欧州委員会が提案する、WhatsAppやSignalなど暗号化通信サービス上で児童性的虐待素材(CSAM)を検出するための規則案。エンドツーエンド暗号化を事実上無効化する可能性があるとして、プライバシー専門家や技術者から強い反発を受けてきた。
- 2025年4月、欧州議会本会議はこの規則案の審議手続きを継続しないことを決議。ただし、これは「暫定的な勝利」であり、法案自体が消えたわけではない。EU理事会(加盟国政府)は依然として推進しており、議会内でも圧力が続く見通し。
- これまで欧州議会は同規則案に繰り返し反対票を投じてきたが、加盟国政府の後押しを受けた欧州委員会が強い政治的圧力をかけており、今回の決議も最終的な廃案には至っていない点が「条件付きの勝利」と報道される理由。
- 背景として、EU域内でのCSAM対策強化を求める市民・政治家の声と、暗号化の弱体化や大量監視につながるとして反対するデジタル権利団体(EDRiなど)の対立がある。技術業界ではAppleが端末内スキャン(iCloud写真のCSAM検出)計画を撤回するなど、同種の規制案は世界的に論争を呼んでいる。