トマス・ペイン:称賛に値する建国の父
建国の父の中でも特に急進的な思想家であったトマス・ペインは、『コモン・センス』や『人間の権利』などの著作を通じて独立運動と民主主義思想に大きな影響を与えた。本稿は、ペインの業績と理念を再評価し、彼が今日のアメリカにおいても称賛されるべき理由を論じる。
背景メモ
- 米国の建国の父の一人だが、ワシントンやジェファソンら他の founding fathers に比べ、日本では知名度が低い。イギリス生まれで37歳まで米国に渡らず、政治の表舞台に立つことはなかった。
- 1776年に刊行したパンフレット『コモン・センス』は、植民地人の独立支持を一気に多数派に変えた決定的文書とされる。平易な言葉で王政を痛烈に批判し、「諸君、太陽の光を浴びよう」と独立を呼びかけた。
- 独立戦争中も『アメリカン・クライシス』を書き続け、士気が低かった大陸軍を鼓舞した(ワシントンが兵士に読み聞かせた逸話で有名)。
- 戦後は『人間の権利』でフランス革命を擁護し、保守派のバークと論争。さらに『理性の時代』で組織宗教を攻撃したため、米国では「無神論者」というレッテルを貼られ、生前も死後も長く評価されなかった。
- 大西洋を7回往復する波乱の人生を送ったが、最期は貧困と酒浸りの中で孤独死。死後200年近くを経て、20世紀後半に再評価が進み、今日では民主主義と社会正義の先駆者として敬愛されている。