スクリューワーム(蝿蛆症)の衰退と再興
スクリューワーム(蛆虫)はかつて家畜に甚大な被害をもたらした寄生虫だったが、不妊虫放飼法(SIT)の開発によりほぼ根絶された。しかし近年、環境変動や規制の変化により同種の再興が懸念されている。本記事では、スクリューワームの生物学、根絶の歴史、そして現代における新たな脅威について解説する。
背景メモ
- Screwworm(ヒロズキンバエの一種)は、家畜の傷口に卵を産みつけ、幼虫が生きた組織を食べることで、米国畜産業に甚大な被害をもたらした害虫。かつて米国南部で年間数百万ドルの損害を与えていた。
- 1950年代、アメリカの昆虫学者エドワード・ニップリングは、放射線で不妊化したオスを大量放飼する「不妊虫放飼法(SIT)」を考案。この手法により米国とメキシコからスクリューワームは根絶された。
- しかし近年、気候変動や検疫の不備により中米〜南米で再び感染が拡大。パナマ以東での封じ込めラインが破られ、米国への再侵入が現実的な脅威となっている。
- 根絶維持には「パナマ・バイオセキュリティ・ベルト」と呼ばれる施設で毎週数千万匹の不妊虫を生産し、中央アメリカに放ち続ける必要があるが、資金・政治的問題で持続可能性が揺らいでいる。